【感想】「弱小ソシャゲ部の僕らが神ゲーを作るまで」(第6回オーバーラップ文庫
ブログでは久しぶりです。カナタWAVE(@ideal_restar210)です。
今回から、不定期にライトノベルやその他コンテンツの「物書き視点の考察・感想」をやっていこうと思います。
■きっかけ
この作品、なんで面白いんだろう?って考えた時、物語の構成やキャラの魅力、展開の必然性などに目が行く。それらを分解し、考察することで、自分の創作活動に活かしていく。
また、ただやるのも良いが、「インプットした作品で得たものをアウトプットできる」「ストックすることで後で見直すことができる」「創作する時のヒントになる」「物書きとして文章を書く(=アウトプット)場を得られる」「感想を(間接的に)伝えられる」「ブログを更新できる」などのメリットが考えられた為、こうして記事を書いていく。
■ポイント
「考察」と「感想」の2パートに分ける。「考察」パートに力を入れる。
あまり凝りすぎると肝心の執筆時間が無くなったりもするので、基本簡潔にする。初回はお試しでやってみたが、もっと簡略化するかもしれない。
また、あくまでカナタWAVE個人用の考察なので、多少の間違い、解釈違いはご容赦を。また、多少批判することもあるかもしれないが、生産性の無いdisりはしない。
では前置きはこの辺にして……
今回は、第6回オーバーラップ文庫金賞「弱小ソシャゲ部の僕らが神ゲーを作るまで」
を見ていきます。
<考察パート>
■テーマ、タグ
学園、部活、ソシャゲ、日本、高校生、日常、青春
■あらすじ
・白析解はとある事情(部員の不正行為を肩代わりする)から、月ケ瀬高校ソシャゲ部を退部し、憧れの部長、久連内茜の下を去る
・命薫高校に転入した解は、弱小ソシャゲ部の部長、青井七花に出会う。
・ソシャゲ部は廃部の危機にあった。生徒会長にソシャゲを馬鹿にされた解は奮起して、再びソシャゲ部に入部する。
・部を存続させる為に、他校とのソシャゲ運営対抗戦に勝利しなくてはならない。
・しかし、同じプランナーなのに知識0の七花、部に来ないプログラマ、七花がプランナーをすることを好まないイラストレーターなど、不思議な仲間に振り回され四苦八苦する。
・七花と関係を深めつつ、なんとか初戦に勝利し、全ては順調に思えた。しかし、七花が「プランナーを続ける」と言うと、イラストレーターの絵瑠は退部を宣言する
・焦る解は二人の間に何があったかを突き止める。すると、七花は元々絵瑠と同じイラストレーター志望だったが、絵が上手くならず、逃げていた事実を知る。
・喧嘩する七花と絵瑠。バラバラになっていく部員達。解は本心から部の為に、七花の為に二人を説得する。
・再び結束しかけた矢先、解の過去が生徒会長によって七花達にバラされる。
・しかし、七花達は解を軽蔑したりしなかった。解と七花達との間には確かな絆が出来ていた。
・過去を清算するため、解は月ケ瀬高校ソーシャルゲーム部に向き合い、結果的にソシャゲの共同開発をすることに。
・七花と歩んでいく、解の青春は既に始まっていて、そしてこれからも続いていく。
■クライマックスまでのエピソード
①ソシャゲ運営対抗戦
⇒ガチャ廃人の黄島文を部活に参加させる。
⇒七花と二人で良いソシャゲを開発する為に徹夜したり同じ部屋で作業したりする親交イベント。
■クライマックスにおける主人公の指標
成功指標:
夢(イラストレーター)を諦めそうになった七花、(そんな七花が嫌いで)退部しようとする得瑠が喧嘩する。二人を説得し、同時に部の存続を守る。
動機指標:
部員が一人でも欠けるとソシャゲ部は廃部してしまう。
解も一度心が折れて好きなものを手放しそうになった。しかし、解を再び日向へ連れてきてくれたのは七花だった。だから、今度は自分が七花を引き上げる。
■主人公を取り巻く関係
●メインヒロイン①退部したソシャゲ部の部長「久連内茜」
性格:完璧主義・クール
行動原理:なぜ解は去ってしまったのか?気がかり。
●メインヒロイン②解を部に勧誘する弱小ソシャゲ部の部長「青井七花」
性格:素朴・純粋
行動原理:部を存続させたい!解君が気になる……。仲良くしたい。
●敵対者①部を廃部にしようとする生徒会長
性格:厚顔不遜・嫌味
行動原理:ソシャゲなんてくだらない。
●敵対者②退部したソシャゲ部の部員「銀城悟」
性格:クール・冷血
行動原理:茜が一目置く解が気に入らない
●ライバル①ソシャゲ運営戦一回戦の高校
⇒命薫高校と同じく弱小以外特に情報なし。
<カナタWAVEの感想>
■ストーリー
部活モノ鉄板であり、ストーリーに真新しさはあまりないが、王道足る青春、熱さがある。題材であるソシャゲは珍しく、情熱が感じられるが難しさはなく、青春物語に落とし込めているのが上手い。特に青春感が強く伝わってくるのが唸りポイント。
■キャラ
純真無垢な青井七花が可愛い。こんな子と一緒に青春したかった。そんな夢を見させてくれる。一方、絵瑠と喧嘩した時の拒絶っぷりは「これぞ人間!」って感じで更に好きになった。主人公は至って普通であり、とりわけ魅力は余り感じられなかった。白析解って名前はめちゃかっこいい。
■文章
クセなど無く、非常に丁寧。綺麗というより分かりやすい。ちょっと地の文が多い時があるが、読むのに苦痛は無く、上手い。
但し、反対に見れば特に個性は無い。
■題材
ソシャゲ、絶対出るだろうなって思っててたが、やったもん勝ちだな、と。
ソシャゲはラノベを嗜む多くの人が何かしら触れているだろうから、興味をそそられやすい。
作者はゲーム開発会社で働いているということもあり、その専門性で優位に立てている。しかし本編は小難しさはなく、あくまで「青春」に重きを置いているから読みやすいし、熱い。
■好きなシーン
七花と絵瑠の喧嘩(クライマックス)。絵が上手くならずに諦めかけていることを絵瑠に糾弾された時の感情の爆発っぷり。
「これ、(やってる感が出る為)わざと紙に描いてるの」
「ごめんなさい……許してください……」
「(絵が上手くなんて)ならないよ! もう、私は……駄目なんだよ!」
の変貌っぷりににゾクゾクした。
■その他
あとがきに「ざまあみろ」って書いてあってもしや?と思ったらやはり「宇宙よりも遠い場所」の影響だった。……俺も言いてえ。
<まとめ>
普段読まないジャンルと、丁寧な物語構成故にすごく勉強になった。
思えば、自分も「基盤系SE」「教育学部や教育実習」「吹奏楽部」「漫研」など、割と幅広い経験をしているのに、作品に活かせていない気がする。自分の経験をもっと取り入れるのも今後視野に入れたい。
今回は以上です。次回はファンタジア文庫「スパイ教室」の予定。
──この作者は1回目は一次で落選、2回目で受賞した。俺もこの前一次で落選し、次何か応募したら2回目となる。やってくぞ。
カナタWAVE