輝きの彼方

twitterでは表しきれない、自身の素直な気持ちを書き殴っています。自分の足跡を、経験した事を形として残し、自分の人生が最高だったと思えるように。 人生経験の目標と振り返り。二次元コンテンツの考察と感想など。

【感想】スパイ教室01 花園のリリィ(第32回ファンタジア文庫大賞

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こんばんは。カナタWAVE(@ideal_restar210)です。

 

今回もカナタWAVEがコンテンツを楽しんで感じた「面白さ」を「分解」して「感想を述べる」第2回目です。

 

■きっかけ
この作品、なんで面白いんだろう?って考えた時、物語の構成やキャラの魅力、展開の必然性などに目が行く。それらを分解し、考察することで、自分の創作活動に活かしていく。
「インプットした作品で得たものをアウトプットできる」「ストックすることで後で見直すことができる」「創作する時のヒントになる」「物書きとして文章を書く(=アウトプットする)場を得られる」「感想を(間接的に)伝えられる」「ブログを更新できる」などのメリットが考えられた為、こうして記事を書いていく。

 

■ポイント

第一回目を見直して「あまり考察してないな」って事に気付いた。所謂一般的な「あの展開は○○を強調させるために云々」みたいな事は最優先ではなく、「どのようにして物語が構成されているか」を「分解」することなので、「考察パート」を「分解パート」に名称変更する。

また、あくまでカナタWAVE個人用のノートでもある為、多少の間違い、解釈違いはご容赦を。また、「これは嫌い」という事ももあるかもしれないが、生産性の無いdisりはしない。

 

それでは前置きはこれくらいにして……。今回は、

第32回ファンタジア文庫大賞『スパイ教室01 花園のリリィ』

を見ていきます。

 

 

 

<分解パート>

 

■テーマ


スパイ、ファンタジー、戦争、アクション

 

■あらすじ


<起>
・凄腕だが性格に難あるクラウスは、落ちこぼれの7人の少女を集めて成功率1割の任務に挑むチーム『灯』を結成する。
・最難関の任務に挑むというのに、落ちこぼれを指導するクラウスの授業は余りにも常人とかけ離れていて参考にならなかった。
・落ちこぼれの一人「リリィ」は気分転換、と称してクラウスを誘い出し、自身の特異体質『耐毒』を活かして毒ガスを浴びせる。
・しかしクラウスは逆にリリィを劣勢に追い込む。クラウスはリリィの計画を最初から把握していた。
・クラウスは悩んでいた授業法を思いつく。7人で「僕を倒せ」と。
<承>
・落ちこぼれの一人「エルナ」は類稀なる不幸体質を持っており、偶然を装ったクラウス暗殺計画を実行する。
・しかし、暴走車の激突さえも軽々と回避するクラウスに、エルナは歯が立たない。
・そんな不幸体質が災いして、犯罪グループに人質を取られ、流石のクラウスは捕まってしまう。
・絶対絶命かと思われたが、それさえも「エルナ」達の計画だった。捕らわれたクラウスを残し、犯罪グループだけ対処してみせた。

・結局クラウスには逃げられたが、リリィは不可能任務を実行出来るほどに成長していた。
<転>
・不可能任務とは生物兵器「奈落人形」の回収だった。
・少女達はそれぞれの特性を活かして情報収集を行い、いよいよ研究施設に潜入する
・順調と思われた矢先、リリィ達はクラウスの師匠、ギードと対峙し、見事な連携を見せるが悉く倒されていく。
・絶対絶命の中、クラウスが助けにくることを期待したギードだが、クラウスはリリィ達を見捨て、任務成功を優先させていた。
<結>
・残されたリリィは奥の手「七人しかいない」という情報すら欺き、8人目の「エルナ」がギードを討ち、少女達は勝利した。
・ギードは生きていたが、ようやく駆けつけたクラウスに敗れた。
・クラウスはギードが裏切った理由を訊こうとしたが、何者かに狙撃され、命を失ってしまう。
・クラウスはギードが裏切ることになった理由は『蛇』という謎のスパイ組織にあると知る。
・悲嘆と怨嗟の気持ちを秘めながら、次なる任務へ向かう。──騒々しい『リリィ』達と一緒に。

 

■クライマックスまでのエピソード


 ①クラウス暗殺計画(キーマン:リリィ)
 ⇒リリィ達を不可能任務に挑むに値する実力をつけさせる為の、スパルタ教育①
 ⇒『対毒』の特異体質の全貌、結果的にクラウスとリリィの親交が深まるイベント
 ①クラウス暗殺計画(キーマン:エルナ)
 ⇒リリィ達を不可能任務に挑むに値する実力をつけさせる為の、スパルタ教育②
 ⇒エルナの特異体質の全貌、結果的にクラウスとエルナの親交が深まるイベント

 

■クライマックスにおける指標


成功指標:
 生物兵器「奈落人形」の回収と、それを阻むクラウスの師匠「ギード」との戦いに勝利する。
動機指標:
 「奈落人形」を回収出来なければ、世界に多くの悲劇をもたらす。ギードに勝てなければ、リリィ達は死ぬ
 (正確には死なないが、クラウスはリリィ達を失うことになる)


■主人公を取り巻く関係


 ●メインヒロイン①天真爛漫な「灯」のリーダー「リリィ」
 性格:破天荒・お調子者・キュート
 行動原理:クラウスと他の皆と一緒なら、不可能任務でもなんとかなる!
 ●メインヒロイン②「自罰体質」を持つ「灯」のメンバー「エルナ」
 性格:引っ込み思案・悲観主義
 行動原理:自分を避けずに認めてくれたクラウスと、仲間の為にがんばる!
 ●敵対者(兼ライバル)①クラウスの師匠「ギード」
 性格:クール、豪傑
 行動原理:潜入するクラウスとリリィ達から「生物兵器」を守る。

 

<感想パート>


■ストーリー


「……と、思うじゃないですか」を何度も連発される、次々とマトリョーシカを開けていくようなどんでん返しの連続で息を呑むほど夢中になった。全体的に完成度が高すぎて震えた。スパイアクションの名に恥じない、「騙し合い」のストーリー。
世界観も自然に馴染んでいて、圧巻。共和国や帝国間の関係は最後までよく分からなかったが、目的や敵が明快の為にストーリーに没頭しやすい。
「●●が起きる」⇒「だって不幸体質だからね」と、一見ご都合主義のような展開でさえも設定の作り込みによってあまり気にならない所がすごい。

 

■キャラ


7人の少女を一度に動かすのは大変であり、「リリィ」と「エルナ」以外は正直覚えられなかったが、この二人の魅力は十二分に伝わってきた。最初「リリィ」が色仕掛け担当かと思いきや「対毒」という設定でさえも意表を突いてくるのに拍手。

 

■文章


最近のラノベには珍しい(と勝手に思っている)3人称。事実状況を簡潔かつ客観に、それでいてテンポよくするする読めるからすごい。但し、トレードオフではあるが、主人公達の奥底に秘めた本心が伝わるような内面描写はほぼ無かった。

 

■好きなシーン


リリィが胸元から毒ガスを噴出するシーン
⇒完全に二人の関係が良い感じじゃんと思っていた為に、完全に度肝抜かれた。こういう大胆な意表をついてかつ話が崩れない作品は強
リリィVSギード
⇒ギードの超人ぶりがこれでもかという位のハラハラさせる描写。残されたリリィが雄叫びを上げながらギードに突っ込んでいく瞬間は、少年漫画並みの胸熱展開。完全に俺好み。

 

<まとめ>

めっちゃ面白かった……。

大賞になるのも納得だし、アニメ化も時間の問題でしょうって感じ。

自分もとりあえず8/31目途で、「ファンタジア大賞」か「オーバーラップ大賞」を目指すぜ~!と決めたはいいが、何のネタも思いつかない。

勿論、あらすじから結末までひゅん!ってアイデアは振ってくるものではなく、「こうなったら面白そう」「こういうのを書きたい!」からスタートして徐々に形になっていくのだが、度肝抜かれっぱなしの「スパイ教室」を越える何かが無いと、応募するだけ無駄だろうって感じくらいには、途方に暮れている。

めちゃくちゃに勉強になったので、自身の創作に活かしていく、とだけ決意して──。

 

今回は以上です。次回はMF文庫「探偵はもう、死んでいる」の予定です。

 

 

 

 

 

──今はまだ、無力感に打ちひしがれることなく、燃えている。この炎を絶やしてはならない。その為に……?

 

カナタWAVE