輝きの彼方

twitterでは表しきれない、自身の素直な気持ちを書き殴っています。自分の足跡を、経験した事を形として残し、自分の人生が最高だったと思えるように。 人生経験の目標と振り返り。二次元コンテンツの考察と感想など。

【感想】探偵はもう、死んでいる。(第15回MF文庫新人賞最優秀賞)

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こんばんは。カナタWAVE(@ideal_restar210)です。

 

今回もカナタWAVEがコンテンツを楽しんで感じた「面白さ」を「分解」して「感想を述べる」第3回目です。

 

■きっかけ
この作品、なんで面白いんだろう?って考えた時、物語の構成やキャラの魅力、展開の必然性などに目が行く。それらを分解し、考察することで、自分の創作活動に活かしていく。
「インプットした作品で得たものをアウトプットできる」「ストックすることで後で見直すことができる」「創作する時のヒントになる」「物書きとして文章を書く(=アウトプットする)場を得られる」「感想を(間接的に)伝えられる」「ブログを更新できる」などのメリットが考えられた為、こうして記事を書いていく。

 

■ポイント

今まで、<分解パート>で主人公について触れていなかった為、今後はヒロインと同様に性格や行動原理を整理する。

また、あくまでカナタWAVE個人用のノートでもある為、多少の間違い、解釈違いはご容赦を。また、「これは嫌い」という事ももあるかもしれないが、生産性の無いdisりはしない。

 

それでは前置きはこれくらいにして……。今回は、

第15回MF文庫新人賞最優秀賞『探偵はもう、死んでいる。』

を見ていきます。

 

 

<分解パート>

■テーマ


ミステリ、バトル、探偵、ボーイ・ミーツ・ガール

 

■あらすじ


<起>
・ある日の放課後、君塚君彦は見知らぬ女の子、夏凪渚に恫喝される
・夏凪渚の心臓は「誰か」から移植されたもので、「その心臓が「誰か」に会いたがっているから人探ししてくれ」と相談を受ける
・名探偵の助手だった君塚は、警部補の加瀬風靡を頼り、かつてハイジャック事件の時に戦った人造人間「コウモリ」の元を訪れる。

・「コウモリ」の言動から、渚の心臓は、助手として苦楽を共にした名探偵「シエスタ」の心臓であることを知る。
・渚は名探偵を志す。名探偵「シエスタ」はもう、死んでいる。だけどその遺志は、決して死なない。
<承>
・ある日、国民的アイドル「斎川唯」から「時価30億のサファイア」を守ってほしい、と相談を受ける。
・ライブ中、斎川唯に敵組織「SPES」から命を狙われる。サファイアとは、宝石ではなく斎川唯の義眼だった。
・事件は解決した──と思われたが、君彦は「「SPES」に脅された斎川唯が君彦達の命を狙っている」ことを看破する。
・銃を突きつける斎川唯に対し、渚は「友達にならないか」と提案。斎川唯は涙を流し、君彦の仲間になった。
<転>
・斎川家主催のクルージングでバカンス気分を味わう君塚と渚と斎川唯。
・君塚はシエスタの弟子「シャル」と邂逅する。シャルは船にシエスタの「遺産」が眠っていることを打ち明ける。
・渚はシャルに「名探偵のおままごと」と馬鹿にされ、悩む。そんな最中、何者かに渚は攫われる。
・渚を攫ったのは「SPES」の一人、透過と伸縮硬化自在の舌を持つ、「カメレオン」だった。
・渚か乗客全員か、究極の選択を迫れ、動けなくなる君塚。渚は君彦に向かって「私を撃て」と告げた。
・事前にヘリを調達していたシャルの助けもあり、君彦とカメレオンは最終決戦へ。
<結>
・満身創痍の君彦に、死んだ筈の「シエスタ」が渚の身体を借りて現れた。
・名探偵とその助手。かつての日々に想いを馳せながら君彦達はカメレオンを撃破した。
シエスタの現界は今回だけ。次はない。だけど、シエスタの遺志は、渚の中にあり続ける。名探偵の助手としての生活が、また始まっていく。

 

■クライマックスまでのエピソード


 ①ハイジャック事件(回想)(キーマン:夏凪渚・シエスタ
 ⇒君塚とシエスタの出会ったきっかけとなる全ての始まりの事件。
 ⇒敵組織「SPES」の存在、渚の心臓としてシエスタと共にあること。結果的に渚の親交が大きく深まるイベント。
 ②サファイア防衛戦(キーマン:斎川唯)
 ⇒名探偵とその助手が挑む本格事件その①
 ⇒斎川唯の秘密。斎川唯との親交が大きく深まるイベント。

 

■クライマックスにおける指標


成功指標:
 人造人間であり、「SPES」の一員「カメレオン」を撃破し、夏凪渚を救うこと
動機指標:
 渚は君塚にとってかけがえのない存在。どんなことがあっても守る。 


■主人公及び取り巻く関係


 ●主人公①名探偵の助手「君塚君彦」
 性格:冷静、論理的
 行動原理:かつては名探偵の助手だったが、今はもう関係ない。
 ⇒シエスタの遺志を継いだ渚と共に、もう一度名探偵の助手として事件を解決していく!
 ●メインヒロイン①今は亡き名探偵「シエスタ
 性格:冷静・おっとり・理知的
 行動原理:「SPES」を追い、世界中に蔓延る事件を解決する。
 ●メインヒロイン②シエスタの遺志を継いだ新米名探偵「夏凪渚」
 性格:直観的。感情的。
 行動原理:シエスタさんの遺志を叶えてあげたい。(命の恩人として、恩返しをしたい)。心臓の持ち主探しに協力してくれた君塚の事が気になる。
 ●メインヒロイン③国民的アイドルであり、透過の義眼を持つ少女、斎川唯。
 性格:お調子者。
 行動原理:自分を守ってくれる君彦と、行動を共にする。
 ●敵対者(兼ライバル)①「SPES」の人造人間「コウモリ」
 性格:クール、狡猾。
 行動原理:不明。(囚人として捕まってからは敵対しつつも君彦に手を貸すシーンがある)

 

<感想パート>


■ストーリー


・ミステリとバトルを大鍋に入れて勢いよくかき混ぜた、他のラノベらしいラノベとは一歩離れた作品。
・といっても推理パートは肝ではなく、最終的に異能力をもった敵と戦うぜ!みたいな作品。
・面白かったが……個人的に胸を打つような感動(熱さ)はもう少し欲しかったなという印象。
・推理パートか、バトルパートのどちらかがもっと凝られていれば好印象爆上がりの予感。
・しかし、構成分解をしてみて、今までの中で一番苦戦するほど、起承転結の中に物語や情報が詰め込まれていた。

 

■キャラ


・死んでしまった筈のシエスタがまさかのメインヒロインという度肝を抜かれる唯一性には脱帽。唯一無二レベル。
・時折渚と入れ替わっているんじゃないか?という思わせ発言に、読者は「シエスタ」は本当にもう出てこないのか?って気になって仕方ない。

 

■文章


・キャラ同士の掛け合いはテンポよく、ボケやツッコミも自然な流れで読みやすい。基本的に一文が短いのがポイント。必要に応じて地の文を大幅に削ったりと、工夫も感じられる。
・何より、キャッチフレーズの「探偵はもう、死んでいる」のインパクトが凄い。
但し、バトルシーンは異能力モノであるがあまり迫力や熱さを感じられなかった。(耳から伸びる触手、伸縮自在の舌、など、一般的ではない固有性はあるも、分かりやすい「映え」がないのが拍車をかけている)

 

■好きなシーン


・ハイジャック犯VS名探偵
⇒得体の知れない「コウモリ」に毅然と立ち向かい、見事思惑を看破するシエスタが最高にカッコよかった。
・決戦カメレオン、シエスタ降臨
⇒「もう昼寝は済んだのか?」君彦が一番驚いてる筈なのに、ここまで余興でした、と言わんばかりの冷静さ。かつてのバディと背中合わせで敵と対峙する展開は王道の憧れ。

 

<まとめ>

こう、「あっと言わせる」小説、すごいよな……。ライトノベルの原稿を本格的に書き始めて、改めてレベルの高さを思い知らされる。

消費者はそんなことはいざ知らず、つまらなかったらそっぽを向かれるだけの厳しい世界だけど、だからこそやっぱり眩しい。

自分自身、今は──、

ネタをひたすらブレストし、なんとか候補を固めようとするが、中々定まらない。

・主人公の能力を思いつけば、「有名な作品、こんなにあるじゃん」とか。

・この世界設定、いいかも!「でも主人公の目的はなんだ?」とか

・このネタ斬新だな!「いやでもこれで一本かけるか?本当にそれが書きたいモノか?」などなど……。

未だ迷走中。

 

だが、ここが力の入れどころ。今回で3作品構成分解させていただいたが、どれもこれも平坦な作品はなく、2転3転、良い意味で裏切り、ここぞという所で熱い。

その為には、思いついたらGO!ではなく、入念に設計図を描く必要がある。

例え100%は不要でも、骨子足るものが出来ないと、いざ執筆しても遭難する。

この4月中で、「これでいく!」を見つけ、決めていく。

 

 

負けられねぇ~~~!

 

カナタWAVE